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ポンプの軸受けとは?潤滑材の必要性や軸封の役割も含めて解説!

空調設備や衛生設備において重要な役割を果たすポンプ。
その中で、皆さんはポンプの軸受けの役割や分類をご存じですか?

軸受けには、力の掛かる方向や形状により分類されます。
また、軸受けを正常に扱うには潤滑や軸封の要素も欠かすことができません。

そこで、今回はポンプにおける軸受けを潤滑の必要性や軸封の種類と共に解説します。

ポンプの軸受けとは?潤滑材の必要性や軸封の役割も含めて解説!

ポンプにおける軸受けの分類

ポンプの軸受けは、回転軸の支持と回転による摩擦の低減を目的とする部品です。
また、ポンプの駆動には軸受けの潤滑が欠かせません。
そこで、本項ではポンプの軸受けの分類や潤滑の必要性について解説します。

軸受けに掛かる力による分類(ラジアル軸受けとスラスト軸受け)

ポンプの軸受けは、以下のような力を支持する役割です。

ラジアル力:軸方向に掛かる力
スラスト力:軸の垂直方向に掛かる力

例えば、渦巻ポンプでは水などの流体に羽根車の回転力を伝えて、昇圧させます。
そのため、回転軸には流体からの反作用を受けて、軸の中心方向への力が掛かります。
この力が、ラジアル力です。

一方、スラスト力は羽根車の前後にあるポンプの吸込み口と吐出し口の圧力差により、羽根車が軸方向に押されることで発生します。
このように、ポンプの回転軸には軸方向と軸の垂直方向に力が掛かるので、各方向に対する軸受け(ラジアル軸受けおよびスラスト軸受け)が必要となります。

軸受けの構造による分類(滑り軸受けと転がり軸受け)

軸受けには、”滑り軸受け”と”転がり軸受け”といった構造による分類が存在します。

滑り軸受けは、軸に接触して支持するタイプの軸受けで、金属を幾層にも重ねたタイプ(複層金属軸受け)や軸受けに潤滑油を含有させたタイプ(焼結軸受け)などが代表例です。
滑り軸受けの特徴は、見た目がシンプルな点や、振動や耐荷重に強く、動作音が少ない点が挙げられます。

しかしながら、回転軸と接触する面積が大きいのでエネルギー損失が多い点が欠点です。
一方、転がり軸受けは筒に針状のローラーを取り付けた針状ころ軸受け(ニードルベアリング)や、内輪と外輪の間にボールを組み込んだ深溝玉軸受け(ボールベアリング)が有名です。

転がり軸受けは、回転軸への接所を極力避けることで、エネルギー損失を押さえている特徴があります。
しかし、滑り軸受けに比べて振動や耐荷重に弱い構造をしている点は否めません。
このように、ポンプの軸受けには力の方向や構造による分類が存在することがわかります。

軸受けの潤滑について

ポンプが運転を始めると、回転軸と軸受けが激しく摺動するため、回転軸と軸受けの間には潤滑油やグリースなどの潤滑材が必要です。

潤滑材には、接触面の摩擦を軽減させる他に、以下のような役割を持ちます。

摩擦面の冷却
ポンプの軸受部は、冷却水や空気による冷却が難しく、潤滑剤が潤滑と冷却の役割を果たす機器も存在します。
そのため、潤滑油や軸受けの温度を管理し、保全するケースも少なくありません。

異物の混入防止および除去
回転軸と軸受けの間に異物が混入すると、焼付きや軸受けの破損につながるケースがあります。
そのため、回転軸と軸受けの間に潤滑材を流すことで、組付け時の異物を洗い流したり、外部からの異物混入を防いだりする役割を果たします。

軸部の腐食防止
ポンプが稼働しない期間が長いと、内部の腐食やサビが進む場合もあります。
特に、軸部の腐食やサビは稼働時のトラブルにつながる可能性も否定できません。
そのため、休止前に軸部を潤滑材で満たしておくと、腐食やサビの防止につながります。
このように、軸受けの潤滑はポンプの運転や管理面において、非常に重要な役割を果たしているとわかります。

ポンプの軸受けと軸封

軸受けには、潤滑材の使用が重要です。
しかしながら、軸受け部に潤滑材を満たしても、大量の漏れが発生すると、うまく潤滑の効果を発揮できません。
そこで、ポンプの軸受けには軸封という軸部に液体を留まらせる部品が取り付けられています。

本項は、ポンプに用いられる軸封の代表例であるグランドパッキンとメカニカルシールについて解説します。

グランドパッキン

グランドパッキンは、JIS B 0116にて「断面が角形又は丸形で、スタッフィングボックスに詰め込んで用いるパッキンの総称」と定義されています。
形状は、繊維質を編み込んだ紐状であり、回転軸にあるスタッフィングボックスに敷き詰めて軸封します。

また、グランドパッキンは軸部から少量の潤滑材を排出して潤滑や冷却を行うため、軸受け下部にはドレン受けなどを用意するなどの環境に配慮した工夫が必要です。

メカニカルシール

JIS B 0116において、メカニカルシールは「端面シールの一種で、緩衝機構をもつ動的ユニット」という定義です。

また、構造はバネにより軸方向に緩衝機構を持つシールリングと固定されたフローティングシールが、お互いに接触するように設置されています。
そして、ポンプの運転時に流体の圧力とバネの力によって2つの部品の隙間を最小にすることで、内部からの漏れを抑えます。

そのため、グランドパッキンと比べて漏れの少ない点が特徴です。
しかしながら、軸径にフィットした内径をしているため、精密な組み込みを必要とします。そこで、メカニカルシールを交換したい場合は、専門の業者に依頼するとスムーズに作業が進みます。

ポンプの軸受けとは?潤滑材の必要性や軸封の役割も含めて解説!まとめ

本記事から、ポンプの軸受けは力による分類として”ラジアル軸受け”と”スラスト軸受け”に分かれ、形状では”滑り軸受け”と”転がり軸受け”に分類されることがわかりました。

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